#VUIchallengeの第16回です。テーマは「Watering plants」。
過去の#VUIchallengeの記事はこちら
お題
The challenge
Design a voice experience for watering your plants. Your users should be able to log every time they water their plants, request when the plants were last watered, and also ask to get reminders for watering them.
Jesús' Tips
You can over complicate things a lot with this one. The tip is going to be easy now: Keep it simple!
DeepLによる日本語訳
課題
植物に水をやるときの音声体験をデザインしてください。ユーザーは、植物に水をやったことを毎回記録したり、植物に最後に水をやったのはいつなのかをリクエストしたり、水やりのリマインダーを受け取るようにリクエストしたりできる必要があります。
Jesúsのヒント
これを複雑にすることはできますが、ヒントは簡単です:シンプルにいきましょう!
前提
今回から少しやり方を変えて、VUIChallengeに参加されていたMaaike Groenewegeさん(@MaaikeGee)のデザインキャンバスがとても良かったので、ちょっとそのフォーマットにあわせてまずは前提を設計します。
@VUIchallenge @BenJMcCulloch My twooy VUI cents! 1 down, 16-something to go!😄 Feedback much appreciated, especially on how to balance scope & engagement/conversational. https://t.co/7qA3soVpVq
— Maaike Groenewege (@MaaikeGee) 2021年8月1日
会話のゴール
- お花に水を上げるのを忘れがちという課題を解決したい
- 記録することで後でふりかえれるようにしたい
- 過去の記録を確認したい、最後に水をやったのはいつなのか?
- 忘れないようにリマインダーを設定したい
- シンプルなインタラクションで完結させたい
- マルチターンや複雑なインタラクションは極力使わない
想定されるユーザのペルソナ
- 植物が好き、でも、水やりを絶対忘れない、というほどではない、ライトユーザ
- 主に室内の観葉植物の水やりが目的、本格的な庭の植物とかではない
- こまめに記録するのは苦手、あとから振り返ることも多分そんなにない、大雑把
- 過去に何度か枯らしたこともあるのでちょびっとだけ罪悪感
いつどこで使われるか?
- 自宅
- 毎日や何日おきなど、植物に合わせて定期的・継続的に
どのデバイスで使われるか?
- 自宅にあるスマートスピーカー(画面はあってもなくてもよい)
スキルの特徴・個性は?
- 長く続けやすいシンプルさ
- メインは「記録」。ワンショット発話で登録するだけ。
- リマインダーで忘れないように通知
- 楽しく
- みずやりをやったときには楽しいサウンドや効果音、でも派手で長ったらしくない、シンプルで短め。
- ゲーム的な要素を盛り込めるとよい
- 何回連続達成とか
ビジュアル
- 必須というわけではない
デザイン
上記に記載したような前提を踏まえて、ダイアログを作ってみました。いくつかのパターンと言うか、ユースケースで考えてみました。
初回
初回は、簡単な説明とセットアップです。セットアップは後々で楽をするために最初にやるのですが、これが結構な利用のハードルになることがあります。そこで、今回はそれを最小限にして「何日おきに水やりを行うか?」だけを設定することにします。
アレクサ、水やりマネージャをひらいて
あなたの水やりマネージャーです。今日からあなたの大切なお花の水やりを私がちゃんと管理しますよ。では、早速お花に水を上げてください。水やりが終わったら「水やりしたよ」と言ってください。
水やりしたよ
(効果音:パンパカパーン!)記念すべき初日の水やりを達成しました。お花も喜んでいるようですね!
忘れないように次回のみずやりをリマインダーでお知らせします。何日おきに水やりしますか?
3日おき
(効果音:ピロリ〜ン)わかりました。では今後は3日おきに私が水やりをお知らせしますので、安心してお任せください!
色々やりたくなるんですが、ここは我慢ということで。
通常の利用(2回目以降)
通常は、ユーザがスキルを呼び出すことはなく、リマインダーに従って、水やりを行ってもらうのがメインになるでしょう。こういう感じ。
(効果音:ピンポーン)水やりマネージャーです。今日は大切な水やりの日ですよ。お花に水を上げたら「水やりしたよ」と言ってください。/p>
アレクサ、水やりマネージャで、水やりしたよ
(効果音:タッタラー)水やりの連続最高記録2回を更新しました。次はみずやりは3日後の◯曜日です。この調子で頑張りましょう。
リマインダー通りに実施できなかった場合はこういう感じです。
(あー、昨日リマインドしてくれたけど水やりできなかったな。今日やっておこう)水やりしたよ
(効果音:ガーン)残念、1日遅れてしまいましたね・・・今回の水やり連続記録は2回でした。今日からまた続けていきましょうね。次はみずやりは3日後の◯曜日です。次は忘れないでくださいね。
基本はこのような使い方がメインになると思っています。
- リマインダーで通知を受けて、水やりを行う
- 水やりしたら結果を報告してスキルがそれを記録
- ちゃんとスケジュール通りに水やりができたか?の結果、連続記録、次の水やりの曜日をお伝え
ユーザがやるのは「水やりをした」という報告だけです。報告だけなので、いちいちスキルを起動して水やりしたことを伝えるのではなく、ワンショット発話を使えばいいでしょう。長く続けるならこれぐらい簡潔な方がいいと思います。
また、それに対する発話でも提供する情報は、少しゲーム的な要素と次回の水やり予定だけをシンプルに伝えるようにしています。
都度の利用
ヒントに書いてある機能のうち、まだ実現できていないのは「植物に最後に水をやったのはいつなのか?」ですね。個人的にはこの機能、あまりいらないかなぁと思っています。
今回の設計では、リマインダーに従うだけでスケジュール通りにみずやりできるので、前回の水やりを意識的に知る必要性がないと思います。ただ、場合によっては知りたい、ということもあるかもしれませんので、一応実装しておきましょう。この場合はワンショット発話ではなく、通常の呼び出し名でスキルを起動した場合に受けれるようにすればいいと思います。
アレクサ、水やりマネージャをひらいて
あなたの水やりマネージャーです。今日は水やりの日ではないですけど、どうしましたか?
前回水やりしたのはいつだっけ?
前回の水やりは2日前の◯曜日ですね。次の水やりは明日ですよ。他になにか聞きたいことはありますか?
もちろん、ここで水やりの報告をしてもいいでしょうし(その場合は「今日は水やりの日ですよ」みたいに言えばよい)、水やりの間隔を変更したり、現在の記録や次回の水やり予定の確認なども聞けるようにすればいいでしょう。
通常のリマインダーをトリガーとした使い方がメインで、こういった使い方は少な目になる、というのが今回の前提です。ただ、逆にこちらではすべての機能を呼び出せるようにしておく必要があるかなとは思います。
デザインの根拠
今回こういうデザインにした根拠を以下に記載しておきます。
- 最初に書いたとおり、想定するユーザは植物は好きだけど長続きしない、というめんどくさいタイプですw。その点を踏まえて、機能はシンプル、インタラクションは最小限で済むようにしました。
- 実際にはリマインダーの権限許可プロセスも必要なので、初回セットアップは正直悩みました。ただ、都度都度自分でスキルを呼び出すというのはよほどインタラクションに楽しさみたいなものがなければ続かない、と思っているので、リマインダーのセットアップだけは必須にしました。
- したがって、ユースケースは、リマインダーで呼び出されて記録する、それ以外、の2つ、かつ、前者の割合がほぼほぼ全て、という感じです。
- もし機能を付け加えるなら、画面付きデバイスにカレンダーを表示して水やりを行った日にハナマルつける、ぐらいかなーと思ってます。音声インタラクションでできる機能を増やす余地はあまりないかなとは思います。
まとめ
想定されるユーザ像やユースケースを考えて、もっともやりたいことをまずはシンプルに実現する、それを踏まえると、音声インタラクションはとてもシンプルになりますね。機能を追加すれば便利になる反面、インタラクションも複雑になる。それによってメインの機能が使いにくくならないようにするようなバランスはなかなか難しいいですね。音声インタフェースならではの悩みかもしれません。