#VUIchallengeの第7回です。テーマは「Welcome back Message」。
過去の#VUIchallengeの記事はこちら
お題
The challenge
Create a welcome back message for a returning user in a TV guide voice experience. It needs to have a clear final call to action but also include a hint for a different feature you provide.
Jesús' Tips
Two interesting things in the challenge today:
- Returning visitors. We can create different experiences for users that already know how our service works. We can also ask our selves questions like: When can we assume that our interaction scope is clear and limit the amount of information we provide?
- Hints. Hints are great and can help us teach our users abour services we provide that are not part of the main experience. As always, use them wisely.
DeepLによる日本語訳
課題
テレビガイドの音声体験で、戻ってきたユーザーに向けたウェルカムバックメッセージを作成します。最終的な行動を明確に促すだけでなく、スキルが提供する別の機能のヒントも含まれている必要があります。
Jesúsのヒント
今日の課題には2つの興味深いことがあります。
- 再訪問者
私たちのサービスがどのように機能するかをすでに知っているユーザーに対して、異なる体験を提供することができます。また、「私たちの対話の範囲が明確、かつ、提供できる情報量がを制限できるのは度のタイミングからですか?」ということについて自問自答することもできます。- ヒント
ヒントは素晴らしいもので、私達が提供するサービスのメインの体験「以外」についてユーザーに教えるのに役立ちます。いつものように、賢く利用しましょう。
デザイン
パーソナライゼーションの基礎ですね。初回ユーザと2回目以降のユーザで応答を変えるというものです。
第1回でお題に上がっていたTVガイドスキルのときに、実はもうやっています。
初回
初めて起動するときのポイントは以下です。
- ユーザは、スキルで何ができるのかをあまりわかっていない
- ユーザは、スキルに対して、どう発話すればいいのかあまりわかっていない
つまり、スキルについて、そしてスキルの使い方についてある程度の説明が必要だということですね。したがって、以下のような感じになると思います。(スキルの機能については例なのであまり深く考えないことにします)
はじめまして、TVガイドスキルをご利用いただきありがとうございます。※スキルのあいさつ
このスキルでは、今放送されているテレビ番組名とその情報をお伝えします。※スキルでできること
例えば「今やっている番組をおしえて」とか「今◯チャンネルでやっている番組をおしえて」と言ってみてください。※呼びかけ例
2回目以降
初回に対して2回目以降のポイントは、ユーザはすでにスキルの使い方をある程度理解している、ということです。この場合は、
- 無駄なく目的をスピーディーに達成できる事が重要
- ワンパターンなやり取りを回避するための工夫も必要
が重要になると思います。
〜略〜
そして、同じやり取りの繰り返しは、機械的になってしまってマンネリ化を生みます。ここは簡潔にするというところとのバランスも難しいと思うのですが、
- パーソナライズ的な要素を組み込む
- ユーザの名前をどこかで取得しておいて、発話に含める
- 時間ごとに挨拶を変える
- ユーザの過去の発話履歴からユーザが求めそうなものを解析して先んじて提案する(かなり大変だとは思いますが・・・)
ことで、いかにも機械が応答しているという感を減らすのが良いかと思います。
〜略〜
アレクサ、TVガイドをひらいて
◯◯さん、こんばんは、TVガイドスキルです。午後9時現在、4チャンネルで放送中の番組は「クイズ◯◯◯」です。ちなみに8チャンネルで「プロ野球◯◯対△△」もやっていますよ(過去の履歴からプロ野球をよく見ている場合)
あくまでも一例なので、やり方はいろいろあると思います。
基本的な考え方はこれで良いと思いますが、すこしお題にあるヒントについて考えてみましょう。
異なる体験を提供する
スキルが提供する機能にもよりますが、例えば、
- 複数の機能を持つ場合、ユーザが使っていない機能を提案してみる
- メインの機能をより便利に使える付加機能を提案してみる
ということで、ユーザに新たなスキルの魅力を提案することができます。例えば後者の場合だと、こういうのが考えられますね。
アレクサ、TVガイドをひらいて
◯◯さん、こんばんは、TVガイドスキルです。午後9時現在、4チャンネルで放送中の番組は「クイズ◯◯◯」です。ちなみに8チャンネルで「プロ野球◯◯対△△」もやっていますよ(過去の履歴からプロ野球をよく見ている場合)
8チャンネルについて詳しく教えて
8チャンネルでは東京ドームで行われている「プロ野球 ◯◯対△△」の10回戦をやっています。今日の先発は☆☆と★★、現在3回表 〇○の攻撃中で、2対3で△△がリードしています。
これまでのご利用からはプロ野球がお好きのようですね。プロ野球の放送日時にあわせてリマインダーでお伝えすることができますよ。リマインダーをセットしますか?
利用傾向からユーザが興味を持っていると推測される番組について、その放送日時に合わせたリマインダーを設定することで、いちいち自主的にスキルを起動して調べることなく、見たい番組を教えてくれるというような感じですね。ユーザはいちいちスキルを起動しなくていいのでとても楽ちんです。
ただし、こういった「より便利な使い方」、初めて使うユーザにとっては、
- スキルの使い方がまだわかっていないのに、リマインダーの設定まで頭が回らない(これもまた認知的過負荷)
- スキルの使い方がまだわかっていないのに、リマインダーの許可をしてもいいのか不安になる。
ということがあるかもしれません。第1回でも記載しましたが、初回起動時は、ユーザにスキルの使い方をシンプル・簡潔に体験・理解してもらうということが重要だと思います。より便利な使い方や他の機能については、ある程度利用回数が増えた段階タイミングを図って提案するのが良いと思います。
いつから慣れたユーザだと判断するか?
ではどのタイミングから「ユーザはスキルの利用に慣れた」と判断すればよいでしょうか?ここはいくつかの考え方があると思います。
- 利用(起動)回数
- 利用頻度
利用回数が多く、頻度が高ければ、ユーザは使い方に慣れていると判断する事はできると思います。ただ、
- 過去の累積利用回数は多いが、久々に使った
- 以前はよく使っていたが、何らかの理由で使うのをやめて、久々にまた使い始めた
- 使い方を忘れているかもしれない
- 利用頻度は高いものの、初回起動からあまり時間が経っていない
- エラー等が多く発生して何度も起動していたりしないか?
- 使い方をうまく伝えれていないかもしれない
というようなケースもあると思いますので、一概には判断は難しいかなと思います。ここはケースバイケースで判断するしかないかなと思いますが、例えば、
- スキルの利用状況を確認
- ログ等でエラーが発生していないか
なども確認した上で、トライアンドエラーで継続的に改善していくしかないかなと思います。
ヒントを提供する
使いかたのヒントをうまく盛り込むのも新しい効果的です。例えば、以下などが考えられます。
- 別の言い方を提案する
- エラーになったときやヘルプ
- サジェスチョンチップ(Googleの場合)
例えばこういう感じでしょうか。
別の言い方を提案する
チャンネル名を指定するのがメインの使い方ですが、人によっては放送局で指定するほうが自然かもしれませんね。
アレクサ、TVガイドをひらいて
◯◯さん、こんばんは、TVガイドスキルです。見たいチャンネルを言ってください。
4チャンネル
午後9時現在、4チャンネルで放送中の番組は「クイズ◯◯◯」です。出演者は✕✕✕、△△△、ゲストは▲▲▲です。
ちなみに、チャンネルの代わりに放送局でも調べることができますよ。放送局で指定する場合は「〇〇放送でやっている番組を教えて」と言ってみてくださいね。
エラーになったときやヘルプ
エラーになった場合、ユーザに正しい使い方が伝わっていない可能性がありますね。単に間違っている、というところで留めるのではなく、正しい使い方の例とともにうまく誘導してあげるのは重要ですね。
アレクサ、TVガイドをひらいて
◯◯さん、こんばんは、TVガイドスキルです。見たいチャンネルを言ってください。
料理番組がみたいな
ごめんなさい、よくわかりませんでした。見たいチャンネル名か、放送局を言ってみてください。または「今やっている番組を教えて」といってみてください。
サジェスチョンチップやヒント
Googleの場合、画面付きデバイスおよびスマホアプリでサジェスチョンチップというものを使えます。
画面イメージとしてはこういう感じですね。
ユーザの発話例が表示され、音声で発話することもできますし、タップで選択することも可能です。ここでメインでよく使われる発話以外の例などを入れておくと、ユーザにとっても試しやすいですね。
Alexaの場合は、APLのFooterを使うと、発話例をヒントを表示することができます。何気なく表示しておくことで、あまりプレッシャーを与えることなくユーザに別の使い方を提案できるのではないかと思います。
まとめ
「おかえりなさい」というのは、ユーザエンゲージメントを高める方法で最も基本になりますね。ユーザの利用習熟度を踏まえて応答を変えることはもちろんですが、その中でスキルの新たな魅力を提案・体験してもらうようにできると良いですね。