kun432's blog

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「音声UX 〜ことばをデザインするための111の法則」を読んだ

あけましておめでとうございます。本年もよろしくおねがいします。今年一発目の記事です。

年末に以下の書籍が発売されていました。

音声UX 〜ことばをデザインするための111の法則

音声UX 〜ことばをデザインするための111の法則

ここしばらくは音声関連書籍があまり出ておらず、非常に寂しい感があったので、久々の新刊はとても嬉しいです。早速一気読みしましたので、レビューです。

目次

Disclaimer

予め読者である自分のスペックを書いておきます。

  • エンジニア。専門はインフラ。コードの読み書きは多少できるけど、アプリケーションをバリバリ作るという立場ではない。
  • Alexa/Google/Clovaなどでスキル開発・公開経験あり
  • スマートスピーカーアプリの技術的な仕組みや実装については一応理解しているつもり。
  • VUIでもVUI以外でも、UXやデザインという観点の知識や経験はほとんどない。
  • VoiceflowのGlobal Ambassadorをやっています。日本コミュニティを運営しています。したがってVoiceflowについては普通の人よりは多分詳しいです。

これらが前提となっているレビューだということを予めご理解ください。

書籍について

技評さんの書籍紹介ページの紹介文を抜粋しておきます。

この本の概要

Amazon EchoやGoogle Homeなどのスマートスピーカーの登場で,音声によるユーザーインタフェースを利用する機会が広まってきました。長い年月をかけて操作性の工夫が積み重ねられてきたGUI(グラフィックユーザーインタフェース)と違い,VUI(ボイスユーザーインタフェース)は,一般的に利用されるようになってからの月日がまだまだ浅いため,いざ,VUIを利用したサービスを提供するとなると,どのようにサービスを構築すればよいのか,注意すべき点はどこにあるのか,テストはどのように行えばよいのか,など,考えるべきことは多数出てくる一方で,まとまった情報がまだまだ限られるのが現状です。
音声を介したサービスやシステムは,GUI以上に直接的にユーザーにその結果が体験として伝わるため,音声インタフェース,音声ユーザーエクスペリエンス(UX)は,その活用の仕方が,提供するサービスやシステムの成否を握るとも言えます。本書では,音声によるUXを実現するために知っておくべき考え方,注意すべきポイント,サービス構築の前に考えておくべきことなどをわかりやすく,111のエッセイで解説していきます。

こんな方におすすめ

これから音声サービスの企画,開発,デザインを担当する人,現在音声サービスを展開している人。デザイナー,エンジニア,マーケッター ・現在スマートフォンアプリや,Webのサービスを展開している人。企画,開発,デザインなどのデザイナー,エンジニア,マーケッター

良かったところ

会話デザインに関する情報は多数あるものの分散しているのが現状だと思っていて、それらをまとめて一冊の書籍にしているという点だけでとても価値が高いです。

各エッセイごとに参考文献へのリンクが用意されていて、コラムなどで多数の書籍やツールなども紹介されていて、これらの膨大な情報をまとめるのは非常に大変な作業だったのではないかと思いますし、これらが一つにまとまった形で得られるのはとてもありがたいですね。

例えば、コラムで紹介されている書籍に関してはいくつか興味を引くものがあったので早速購入してみました。

また、各プラットフォームから出ているようなデザインガイドは、おそらく英語をベースとしたものを日本語に翻訳したものだと思います。ある程度はローカライズが考慮されているのではないかと考えていますが、日本語固有の音声だと聞き取りにくい・意味がわからない・丁寧語や謙譲語などの言い回しなどについてはそこまで考慮されていないのではないかと感じます。

この書籍ではそういった部分の知見も多数掲載されており、日本国内で音声に携わる人にとっては非常に有用だと思いました。私のように技術サイドから来た人間にとっても、日本語として普段当たり前につかっていて意識すらしないような部分について、いろいろ気づきを得ることができたのでとても良かったです。

惜しいところ

逆に気になったところもあります。

  • 参考文献からの引用日本語訳でいくつか意味のつかめないものがありました。参考文献のリンクがきちんと用意されているのでそちらを読んで理解できました。
  • 技術的な仕様については少し記載が不明瞭なものがいくつかあるように思えました。まあ実際に開発する際には各プラットフォームの技術仕様をきちんと確認すると思うので、さして重要ではないと思います。
  • Voiceflowに言及されている点についてはAmbassadorをやっている手前どうしてもツッコミを入れたくなるw。ただ、日本の商業誌で言及されたことは過去ほとんどないと思うので(今のところ、元木理恵さん・伊藤清香さんの書かれた書籍が最初で唯一じゃないかなと思います)、認知率が上がってきた!とポジティブに捉えていますw。

書籍の内容にも絡んでしまうので詳細には書きませんが、技術者としてはどうしても細かいところを気にしてしまう&Voiceflow Ambassadorとしては多少贔屓目のバイアスかかってる次第w。

ただそのへんを考慮しても非常によくまとまっています。

まとめ

日本語で読める日本語の会話デザインのベストプラクティスが一つにまとめられた書籍ということでとても有用だと思います。

これらをすべて事前に意識してやるというのは現実的に難しいと思いますが、エッセイ形式になっているので気づいたところから少しづつ取り入れていけるのも良いと思いますので、会話デザインとか抽象的で難しい・たくさん情報あってどれを見ればいいのかわからない、という方には最初の一冊としてよいのではないでしょうか。

もう少し実践寄りなやり方を知りたい場合には、各プラットフォームのドキュメントや、以下の書籍もオススメです。合わせて読んでみてください。

また、Voiceflowにおける会話デザインの実装については過去に以下のような記事をまとめていますので、こちらもよろしければどうぞ!

音声関連の書籍は最近出ていないので、もう少しタイムリーな形で今後も出るといいですね。